ギリシア旅行記イントロ:オフシーズンは意外と狙い目! [ギリシア 2019.1]

ギリシアは暑い場所と思っていませんか?
いいえ、ギリシアにも冬があるんです。寒いし雪も降るんです。雨が多くて人がいない。
それこそ狙い目~~なのよ。

わたくし、1月中旬にギリシアに遊びに行ってきました。
初めてのギリシア。アテネとサントリーニ島、あわせて10日間。

たしかに寒くて過酷なこともありましたが…、総合的に見ると二重丸🙆
イモ洗いの風景をよく見るアクロポリスが、なんとスカスカ!
江の島以上のお祭り騒ぎが予想されるサントリーニ島も、しっとりと大人の休日!


オフシーズンのギリシアがどれほど充実していたのか、個別具体的なことは小分けして詳しく書きます。

ここではイントロとして、ギリシア旅行についての一般的な概論を書きま~す。


旅の経路


東京からアテネへの直行便はない。
ヨーロッパか中東を経由することになるのだけど、
今回はカタール航空に乗って、ドーハ経由でアテネ入りした(☛カタール航空の歩き方)。

初めてのカタール、ドーハで半日くらい遊びたかったのだけど、時間がもったいないので今回は断念。

いやあ、それにしてもギリシアは遠かったので(直行便がないから)、
そう何度も往復したくない。ドーハに時間を削らなくて正解。
ドーハなら、また経由する機会もあるでしょう。

アテネで3泊してサントリーニへ。

アテネからサントリーニへは飛行機で45分。
いくつかの航空会社が飛んでいるけど、だいたい午前と夕方、同じ時間帯に集中してる。
今回はオリンピック航空(=エーゲ航空)で飛んだ(☛オリンピック航空の歩き方)。

夏季(3-10月)なら、海路(高速船)でも4時間ほどでアクセスできるようだけど、冬季は高速船の運航なし。
普通船だと7時間。さらに、便数が極めて少ない。
地中海を航海してみたかったのだけど、7時間はね~~。これも断念。
飛行機でビューっと飛びました。


サントリーニで4泊して、最終日は、
サントリーニ➝アテネ➝ドーハ➝羽田と、ずっと空港か飛行機の中。遠かった~。

サントリーニが夢のように楽しかったのは、
そうそう何度も往復できない(したくない)という、稀少性がやや関係してるかも…。



寒かった!

冬のギリシアが寒いことは知っていた、雨が多いことも。
特に、島では強風が吹き荒れることも。

「冬場にこんなところにわざわざやって来るのは余程の物好き…」と、予習用に読んだ村上春樹の『遠い太鼓』にも書いてあった(文庫版 p.81)。
ええ、寒いことを見越して、防寒対策と雨対策はしていきましたよ。

旅行前に調べたところ、1月のアテネは東京とだいたい同じくらいの気温。
ただし、ギリシアでは寒暖差が大きく日中は暑い場合もありとの情報が…(←今思うと、いらない情報)。
インスタの「#アクロポリス」で調査をしてみると、確かに、防寒着を手に持つ人や、さらには半そでの人もちょろちょろ。(←今思うと、ただの暑がりさん)
むむ、東京のようなガッツリ防寒態勢では、暑くてつらいのかも、と思ってしまった😭。

だから、重ね着戦略で準備しました。
秋用薄め着の上に、持っても邪魔にならない薄手ダウンを2枚重ね着。

大失敗。ガッツリ防寒でよかったのだ!!
薄手のダウンなんてたいして役に立たないじゃないか。

冬のギリシアにお出かけのかた、とくに屋外での観光を予定している方、東京と同程度か、それ以上の防寒の服装をご用意くださいっ。



楽しかった!

遠いし、寒いし、さぞかしつまらなかったように聞こえるかもしれないけど、
いんや、すんごく楽しかったよ~~、冬のギリシア。

アクロポリスも古代アゴラもスッカスカ。
こころゆくまで静かに魂を飛ばし、古代の都市国家を堪能した。

サントリーのイアもフィラも、特に観光名所はガッラガラ。
崖に張り付く白い建物群を、集落ごと独り占めして味わった(ちょっと大げさだけど)。

とにかく、イモ洗いと喧噪をさけられたのが最高👍


あと、シーズンに関わりなく、ギリシアの楽しかったこととしては、

アテネでも、サントリーニでも、猫が呆れるほどたくさんいて嬉しかった。犬もたくさんいた。
頭数がおおいというよりは、勝手に外をウロウロ歩いているので、よく目につく。
最初はせっせと写真を撮っていたけど、キリがないことに気が付いた。
彼らは逃げも隠れもせずに、いつでもどこにでも、うようよいくらでもいた。

その他にギリシアの良かったところは…、
食べ物はおいしいし、思いのほかワインも美味しい。
言うまでもなく観光上のポテンシャルは高いし、
ヨーロッパ人御用達の観光地なだけに、適度に洗練されており、
しかし、すごく田舎なので、のどかで優しい。
西欧と中東と東欧と、いろいろな要素がまざって興味深い。色々な要素の混在については、もうちょっと掘り下げておきたい。

意外と知らないギリシア

ギリシアと言えば古代ギリシア。ソクラテスやプラトン、初めての民主政治、などなど。なにしろ古代の都市国家(ポリス)の栄光が頭に浮かぶ。

でもそれは2000年も前のこと。
ギリシアは、その栄光の文化と歴史を着々と脈々と継承してきた、というわけでもない。

キラキラのポリスの時代は、すごく有名な割には、意外と短命なのよね。下の地図の赤い部分、左側。
浜島書店、2011,『ニューステージ世界史詳覧』4頁
そして、近代国家としのギリシアが誕生したのが1830年。上の地図の赤い部分、右側。
「古代ギリシア」と「近代ギリシア」の間には深ーい溝がある。

ローマ帝国、東ローマ帝国の時代を通して、人びとはギリシアの神を捨ててキリスト教徒になった。
しかもかれらは自分達を、ギリシア人ではなく、ローマ人と認識していた。古代との決別。

ローマ人と言っても、ギリシアは東ローマ帝国なので正教会。
西欧のカソリック系とは一線を画す、東欧系の宗教世界を展開してきた。

さらには200年前までオスマン帝国だったわけだから、
アラブ世界の文化もふんだんに組み込まれている。
ガラスの目玉とかアラブ菓子とか。

いやあもう、ギリシアの地では長ーいあいだ、ローマ人を自認する人たちが、古代ギリシアとはかなり異なる世界を生きてきたわけです。


一転して、ギリシア人が古代ギリシアを取り戻そうとするのが19世紀。
ヨーロッパ人の「古代ギリシア」への憧れをふんだんに反映しつつ、
ギリシア人たちは独立戦争を戦って近代国家を樹立した(右側の赤い部分ですね)。
そして「古代ギリシア」と「近代ギリシア」の連続性を取り戻すべく、
ただの寒村に落ちぶれていたアテネを首都とし、古代ギリシアの継承たる都市づくりを行ったというわけ。(この時代の話は、村田奈々子『物語 近現代ギリシャの歴史』中央公論社がとっても面白かった!)

最後のステージが、わたしたちの頭に浮かぶギリシアってわけね。
つまり、わたしたちの知るギリシアは、近代ヨーロッパ人の夢、共同幻想が強く反映されている部分。
その共同幻想に押し切られずに、現代ギリシアの本質を自分の目で見極めたい、というのが今回の旅のテーマだったんだよね。

結論として、一言でいえば「わからなかった」😵。あまりにも奥が深くて、にわか勉強ではおいつかなかった。でも、直観レベルでいわせてもらえば、現代ギリシアは、
思っていたより西欧だった。
思っていた程度にアラブだったし東欧だった。
思っていた通り、古代ギリシアではなかった(注:わたしにはわからなかった)。


なにはともあれ、このようにカメレオンな玉虫色のギリシアを心で感じ、頭で考察するうえでも、オフシーズンは最高だった!
ツーリストだらけのイモ洗いのお祭り騒ぎの中では、感じることも考察することもできやしないよね。



まとめ:オフシーズン最高!

オフシーズンは寒い。雨が多い。さらに島では冷たい海風。過酷です。
だからこそ、人がいない。ゆえに、静かなギリシアを堪能できる。

ギリシア初体験のかたには、ぜひオフシーズンをおすすめしたい。
アテネのアクロポリスとか、サントリーニ島のイアとか、まずはどうしても行きたい目玉、ゆえに猛烈なイモ洗いが予想される観光地は、オフシーズンにゆっくりじっくり堪能しつくすべし。

そして観光欲求が一通り充足された二回目以降に、気候のよいオンシーズンに、よりコアで、人のいないギリシア・エーゲ海を堪能するのがいいように思う。

なにはともあれ、オフシーズンのギリシア旅行は最高に充実だった🙆
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