ヒューマンセンサーに行ってみた。自己啓発セミナー的なかんじ?

ひょんないきさつで、ヒューマンセンサーという利き脳診断に行ってきました。
どんなところなのかな?どんな人がいるのかな?と興味津々で体験してきましたよ。




ヒューマンセンサーとは

一言でいえば、性格診断セミナーですかね。
個々人の資質や特性を診断して、それに見合った生き方をアドバイスするってこと。
ヒューマンセンサーの正式名称は「優良資質診断プログラム」。

診断の方法は、指に電極をつけて脳の働きの傾向を読み取るというもの。
このシステムは本来、職業の「適性検査」として開発されたようです。
企業は、自社の活動に見合った人材を採用したい。
大学は、学生の適性に見合った就職活動を支援してあげたい。
そのために、適性検査を用いよう、と言うこと。
調べてみると、そういった類の適性検査は企業や大学で広く採用されているんですね(たとえば適性検査の比較と選び方)。つまり、ヒューマンセンサーは数ある適性検査の一つってこと。

ヒューマンセンサーのもとになった「BR式適性検査プログラム」なるものがいかなる主体および資金経路によって開発に至ったのかはわかりませんでした。
いずれにしても、加賀博というかたがその開発に関わり、その後「ヒューマンセンサー(優良資質診断プログラム)」として確立したようです。1986年のこと。
加賀氏は、人事・経営コンサルトで、キャリアデザインについてたくさんの著者も出版されており、また多くの大学で非常勤講師もされています。
興味深いのが、高野山大学でも講師をされていること。2018年に『空海と現代能力開発』というタイトルの著書を出版されているところをみると、
ヒューマンセンサーの考え方に、宗教的エッセンスが加えられていることが読み取れます。

そういった、数ある適性検査の一つとして企業や大学に採用されていたヒューマンセンサーを、広く一般を対象とする性格診断として展開したのが副島千佐子さん、通称ちいちゃんです。1993年から測定開始。
加賀氏から個人向け診断の営業権を買い取り、法人は加賀氏、個人はちいちゃんという住み分けで測定を行っているらしい。
パンフレットより
いやあ、ちいちゃん。これぞカリスマ、圧倒されました!そのエネルギーを1/100でも分けていただきたい…。
ちいちゃんはもともと九州でやり手の実業家だったようです。エステとかブティックとか(たしか)、たくさん経営されていた。
そんな美容系実業家のちいちゃんが、経営上のニーズから自社にヒューマンセンサーを取り入れたところ、ご自身がすっかりヒューマンセンサーにはまってしまい、美容系のビジネスをきっぱりやめてヒューマンセンサー・ビジネスにシフトしたようです。これまたすごいエネルギー!行動力!

このように、
職業の適性検査として開発された「BR式適性検査プログラム」に、加賀氏の宗教観が加わり、
さらにちいちゃんの迫力あるカリスマ的解釈の施された性格診断として確立されたのが、
わたしが体験した個人向けヒューマンセンサーです。



測定と結果

さて、個人向けヒューマンセンサーの測定は東京と福岡で月2回のペースで定期的に実施されています。また、全国でも手広く実施されている。
ちいちゃんは、東京在住ではあるけれど、日々全国を飛び回ってあのカリスマパワーを振りまいているらしい。これまたすごいエネルギー。

会場はこんな感じ。
予約制ではなく、測定量の25,000円を握り、当日ぷら~と行くだけです。
開始時刻までに、ぱらぱらと十数名集まってきました。

測定は後ろの作業席で8名ずつ行う。
指に電極をつけて、10分くらいじっとしている。以上。

この性格診断の特徴は、エゴグラム診断のように主観でyes/noを答えるようなのではなく、電極から客観的に情報を収集するところ。システムの信ぴょう性はわかりかねますが、結果の一貫性は担保できそうですね。

その、電極から得られた情報を機械が分析し、人間を13種類に分類するという趣旨です。
横軸が利き脳タイプ。左脳型、両脳型、右脳型。
縦軸が集中力の使い方。理想型、社会型、興味型で分類されます。

計測が終わってから、これまた10分くらいで、検査結果が配布されました。
私はAAタイプと診断されました。両脳型×理想型です。
「人類の未来のために信念で行動する」タイプで、乗り物に例えると「スペースシャトル」ということです。

全員の結果が出そろったら、2時間ほど、この13分類の説明を受けました。
今回はAA型が多かったので、CC型のちいちゃんではなく、AA型の娘さんが講師をされました。

説明を伺って、たしかにわたしの性格はAA型に当てはまることが多いように思われました。が、「禅寺のように無駄のない片付いた部屋」というのはまったく当てはまりませね😅。その点はむしろ、「あえて無駄を必要とする」CC型に当てはまるなあ~。
そして、悩みが深く、迷ってばかりいるといった説明は、BB型にあてはまる。
心理学でいうバーナム効果というのか、どの型も当てはまるっちゃあ当てはまりそうだな~と思いきや、
「人に親切にしかできない」AC-a型はないな~とか、自分には当てはまらない型もありました。




ヒューマンセンサーの活かし方

じゃあヒューマンセンサーは当たらないの?というと、
これは当たるか当たらないかという軸で捉えるモノじゃないと思います。

そもそも、多種多様、雑多な人間を分類して把握したいという衝動は、科学でも、宗教でも、占いでも、…人間社会に広く見られます。
人間というのは、とかく分類するのが好きな生き物なのです。
モノだろうと、天候だろうと、政体だろうと、人間の性格だろうと、何らかの軸で分類することで、われわれは雑多な世界を認識可能な程度にまでシンプル化し、やっとこさ、よりよく利用したり、働きかけたりすることができるようになるのです。

すなわちヒューマンセンサーは、多種多様で雑多なパーソナリティをひとまず13種類に分類することで、目の前の人間たちを整理し、捉えやすくするための工夫なのです。
この意味で、ヒューマンセンサーは人間を理解するための手掛かりになります。

ただし、人間の性格や傾向ははあまりにも複雑で、ワンセットの分類軸によって完全に把握できるものではありません。
この意味で、ヒューマンセンサーで得られた結果によって、人間の性格や生き方や適性の全てが説明されるものではありません。

このあたりの有用性と限界を見誤ると、いかなる性格診断も、科学ではなく信仰になります。わたしはAAだから愛されキャラの赤い服は似合わないとか、AAなのに部屋が汚いから運気が下がるなどと言い始めたら、信仰の世界ですね。信じる者は救われるが、信じない者はあきれる。

そういったステレオタイプな捉え方ではなく、
いま私があの人とうまく関われないのは、わたしは「タカの視点」で物事を判断する傾向があり、相手が「スズメの視点」でそれに抗がっているからなのかもしれない。
というように、現状を把握する切り口を提供してくれるツールとして利用すれば、この性格診断は有用だと思います。




まとめ:啓発セミナーおよびカウンセリング

「本当の自分を知ることができた!!」「楽になった!」的な驚きや感動は、予想通り、まったくありませんでしたが…

しかし、たとえば、悩みを抱えた人が、現状を把握し、状況に働きかけるためのアドバイスを得る場所として、ヒューマンセンサーはわりと有望と思いました。

電極をつけて人間の性質を数値化する「皮膚電気活動法」なるものがどれほど信頼できる工学技術なのか、わたしにはまったくわかりません。
しかし、その数値データの解釈に際して、人間というものの多様性や複雑性をよくもここまで観察したものだと思います。
ヒューマンセンサーのスタッフ(利き脳コンシェルジュ?)は、あらゆる状況をこの分類によって説明し、処方箋を提示する訓練を積んでいるわけですから、人間や人間関係についての物知り長老です。
工学技術の評価を棚上げしても、物知り長老の含蓄は十分にうかがえました。

測定料がそれなりなので費用対効果を考えると微妙ですが…、自分を知り、生き方を考えるための一つの手がかりとして、この分類軸を活用するのは(意外にも)十分ありだと思いました。ただし、信仰ではなく、考えるための手がかりとして。
(もちろん、信仰好きのかたは信仰として享受してください)

それにしても、自己啓発系のビジネスってもうかりそうだな~。さすがちいちゃん、目の付け所がスゴイ!