崖ホイホイ [ギリシア・サントリーニ 2019.1]


B&Bのホストがおすすめしてくれた島内のレストランは95%の確率で大当たり!おいしい!楽しい!
島のことなら彼がすべて知っている。
だから、彼がすすめるアクティビティはすべて楽しいに違いない!!とわたしたちは信じて疑わなかった。

彼の一押しのアクティビティがハイキング。
イアからフィラまでの道のり、10km ほど、歩いて3時間程度だという。
車道とは別にハイキングコースが整備されており、初心者でも難しくはないし、とてもビューティフルでナイスな道ならしい。


10km も歩けるか心配だったけど、
絶景には違いない。
車でビューっと走るより、ゆっくり歩いてこそ見える景色があるはず。
いっちょ頑張ってみるか!と、ビューティフルでナイスなハイキングに出かけた!

これが、生涯忘れられないすごいアクティビティとなった。
くわしく記録しておかねばならない。

ちなみに、この前夜「メンヘラ・ホイホイ」という新語の話題で盛り上がり、わたしたちのあいだで「〇〇ホイホイ」という言い方がプチ流行したために、記事のタイトルが崖ホイホイとなっています。決して、ゴ〇ブ〇ホイホイからの流用ではありません。


車道を歩く

ハイキングコースへの道、頼りはこの手作りの地図のみ。
Main Walk Way をまっすぐ行けば、ハイキングコースの看板があるのですぐわかる、とのことだった。

「すぐわかるのか~」とMain Walk Way にむけてまっすぐ歩み出した。

ちなみに、地図は2Dで書かれているけど、イアの道は3D地図じゃないと把握できない(そんな地図は無いけど)。
2Dではあっさりまっすぐの線で書かれている道も、実のところは上ったり下ったり曲がったり合流したり、実に複雑なのだ。

なにはともあれ、Main Walk Way に出て、さらに進むと、
同じイアとは思えない、別の風景が広がっていた。やっぱり歩かなきゃわからない景色がある👌
道が広くて、なめらかで、歩きやすい。
ハイブランドの店が並んで高級な感じ。
そして、人間の気配が皆無。店もすべてクローズ。
高級ゴーストタウン。

もう少し進むと、
おっ、黄色い苔が生えてるよ!珍しい珍しい。

やんややんやと、散歩を楽しんでいたら、


あれ~、もしかしてあの峠を超えるの~???
反対側(外側)の海が見えてるよ~~。内側を歩くはずじゃ…(汗)

ガーン。「すぐわかる」はずのハイキングコースへの看板を見過ごしたらしい。
いやはや、しかたがないので、車道を歩く歩く。

強風の中、崖から崩れ落ちた岩や砂、溶けずに残った雪を見ながら、歩く歩く。


あのカーブの先で道がひらけるかな?よし頑張ろう!
と思ったら、またもや遠い向こう側までカーブがつづく。
さすがに次のカーブの向こうで道がひらけるかな?と思ったら、
え~~~また、もっと向こうまで歩くの???
と、何度も心が折れながら、2時間くらい歩いたろうか。


潮風が厳しいのは、外海側の道(車道)のせいだろうねえ。
内海側の道を行けば穏やかだったんだろうな~。ポカポカしてたかな?
景色も良かったんだろうな~。
なんで車道に来ちゃったのかな~。

と思っていた。この時は。


永遠に続くと思われた一本道の峠道(車道)にも、やっと変化が現れた。


おお!あれがハイキングコースの看板だ!
やっとこさ、内海側の道に合流できるぞ!
もう、エネルギー残量10%くらいまでヘタっていたけど、少し希望が見えてきた。
やっと、ビューティフルでナイスなハイキングコースを歩けるんだ!


むむ。昨夜の嵐で道が崩壊してる。岩もごろごろ。
まあしかたない。そんなこともあるだろう。


むむ。またまた、永遠なるカーブな予感。
傾斜がきつくなってるし、
しかも、フェンスが壊れて、崖が丸見えの場所も。大丈夫なのか、この道?

エ====ッ、これはどう見てもオカシイデショ====!!

フェンスがない。道幅1mもない。
そのわずかな道幅も、崖側にむかって傾斜してる。
これまで見てきた崖崩れのことを考えると、
ゴロゴロゴロと真っ逆さまに海に落ちる可能性、そうとう高いじゃないか==!

なんでこれが、イージーで、ビューティフルで、ナイスなハイキングコースなんだよ===!!??


遠目に見るとこんな感じ。
こんな崖の中腹に、ハイキングコースが続いてるってこと!

ありえないから、無理だから。
自分のことも、ハイキングコースのことも、全然信用できないから!

さっさと外海側の車道に戻りました。
さっきまで、車道に入ってしまい間違っていたと思っていたのが、間違っていた。
つまり、車道を歩いたので正解だった。
サントリーニのハイキングコースなんて、日本で完全保護されて育った生ヌルイわたしには絶対無理だから。



考察

どういうことだろう?
どうしてこれが、ビューティフルでナイスなんだろう?
どうしてこんなハイキングコースが、入山登録制度もなしに存在するんだろう?この道をヒョイヒョイ歩いた人が崖から落ちて死んだら、誰がどうやって気づくんだろう?

実は、わたしたちが恐れおののいて絶壁ハイキングコースを引き返す時、
一人のきれいなお姉さんとすれ違った。
普通に街を歩く服装で、ひょいひょいと絶壁ハイキングコースを進んでいった。

この先怖いよ、と声をかけたら、「知ってる、何度も通ってるから」だって。
どこのどなたか存じませんが、やっぱり、ここを歩ける人間が存在するらしい。

そう、サントリーニ世界では、ここは普通に人間が歩ける「道」だし、
別段、恐ろしいこともないのだ。この道はナイスでビューティフルなハイキングコースなのだ。

考えるに、「崖」耐性がまったく異なるに違いない。
日本人の一般的な崖耐性をゼロ、
ヤギの崖耐性を10とするならば、
サントリーニの人たちの崖耐性は8くらいあると思う。

だって、わたしは初めてイアについたとき、怖くてあちらこちら見られなかった。
予約したB&Bがこの下の方の家じゃなくてよかったと、ほっと胸をなでおろした。
写真を撮るのさえ怖かった。
サントリーニの人はこんな崖世界を日常的に生きているのだから、
一般的な日本人よりは、むしろヤギに近いのだ。
崖を、怖いものではなく、ホイホイと受けとめ、むしろナイスな刺激を得ているに違いない。

後日、別の場所で、こんなハイキングコースをみつけた。

エ====ッ、これは絶対にヤギしか通れないから=。
もはや道じゃないから。一歩も歩き出せないから==。

おそるべし崖ホイホイ(=崖の住民)。


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