ドラマ「乱反射」感想。みんな無責任なーのだ!

面白かった。おみごと。こういうの好き。
前情報はない方が面白いはず。【ネタバレ注意】

メ~テレ開局55周年記念ドラマ「乱反射」より

まったくの前情報なしで、かつテレビドラマ用のうすい期待値で鑑賞したおかげで、ストーリーのどんでん返しとテーマのインパクトに素直に驚かされた!
ちょっと言い過ぎかもだけど、映画の「羅生門」に通じるところがあると感じた。

子どもの死という痛ましい事件を中心に展開されるので、さそがし重たい悲劇なのだろうと思って鑑賞していた。途中までは。
主人公夫婦の一回目のごみ捨てシーンで、「あれ?」と思ったものの、あれは気のせいだったのかと、重いモードのまま鑑賞続行。
市役所職員、トイプーおじさん、ecoデモおばさんと、総無責任キャラを矢継ぎ早に出して、むむむ?もしかすると??と思いつつ、
しかし、潔癖症や救急のたらいまわしなど、これまた重たいテーマも絡んでいたことで、疑いつつも、重いモードが維持される。



ラスト、二度目のごみ捨てシーンで、やっぱりそうだったのかあ、「子供の死」がテーマじゃなかったのか、と真のテーマをとうとう確信。
ネタは何でもよかったんだな。なんだったら、倒産とか、借金地獄とか、いじめとか、とにかくなんでもよかったのか~。
つまり、小さな無責任の積み重ねが、深刻な事件を引き起こしうることを描くことが必要だった。
もっと言うなら、しょせんあなたも私も、子どもを失った親だって、多かれ少なかれ小さな罪を犯しながら無責任に生きている。
人間とはそんなものだし、一つの題材から見た被害者が、別の題材から見れば加害者になりうる。
たとえば、被害者夫婦のごみ捨て行為が、別の知らない子供の無残な死にゆきつくかもしれない。
そのように、社会を相対的に見る「視点」がこのドラマの真のテーマだったのよね。
テーマのどんでん返しとともに、別の意味で、哲学的に重い課題がのしかかる。人間社会とはしょせん…。

心が再度、別の方向から重くなったところで、ラストのラストに、診察されている若者のニタリ顔で終了。
「えっ!」なにこれ?何か伏線を見逃したか…。
ググってみると、最後の若者は原作者ならしい。
原作者が、風邪ごときで夜間診療を利用する無責任人間の一人だったというオチ。
「みんな無責任なーのだ!」と、バカボンのパパ的なシーンでおわらせるとは。なんて喜劇。やるなあ👏


勧善懲悪な一元的ものの見かたに異を唱え、無責任な正義感に自省を迫るアイロニーを、共感および自省とともに受けとった!
メッセージが比較的シンプルなわかりやすいドラマだった(たぶん…理解した限りでは)。きっかりと腑に落ちるシンプル系もいいね。
そして、前情報なしに見たおかげで、どんでんがえしも素直に楽しめた🙆