ダム緊急放流、シェアリングエコノミー、原子力産業。久しぶりにニュース番組が面白かった。8月9日ニュースウォッチ9のレビュー。

昨夜のニュースウォッチ9は、いつになく興味深い特集が多く、最後にはウルっと感動までしちゃった。
オムニバス形式で、興味深かった3つの話題を放送順にふりかえります。


愛媛県、肱川のダム緊急放流問題。

写真はNHKの放送番組を撮影したもの。以下同様。

たしかに天災だけではなく、人災でもあるんだろうね。でも、ダムを管理する国交省と、避難勧告を出す自治体と、被害を受けた住民、どの言い分もわかるような気がした。専門家も合意形成の問題と説明していたが、納得。不確実性のなか、限られた情報をどう活かして行動するのか、立場の異なる者通しの合意形成と有機的な連携が求められるってことなのかな。

今回のことはよくわかっていないので、単純に一般論として、自省的に得た教訓として、
私たち市民は、常日頃から、国や自治体に頼るだけではなく、当局も(もちろん)万能ではないことを前提として、限られた情報を共有し、不確実性のなか責任をもって行動しないといけないんだろうなあ、と思った。いわゆる、テクノクラシーからの脱却!

気候変動が現実味を帯びてきている今、地球上のだれもが他人事ではない。



シェアリングエコノミーが急拡大。

内閣府の試算によると市場規模は5000億円程度になるらしい。メルカリ、カーシェア、民泊、ドレスシェアリング、赤ちゃん向けのおもちゃシェアリングが例に挙げられていた。
資源を回していく、あるいはセーブしていく活動が、大きく広がっていることはとても喜ばしいベクトル。いい感じ。

なかでも興味深かったのが、なんと80歳と79歳の老夫婦が、終活のために、メルカリで和服、耕運機、掛け軸などを売っていたこと。夫婦仲良く楽しそうに出品していた。そんなハイカラで、上品で、仲の良いご夫婦が素敵だった。





長崎の「被ばく者が見た”核を生んだ町”」

ここが感動のピーク。8歳の時に被爆した、81歳の森口さん(男性)が、
長崎の原爆に使われたプルトニウムを製造した米ワシントン州のリッチランドという町を訪れた。

リッチランドの主要産業が原子力産業なので、町の住民は原子力に誇りをもっており、町のいたるところに "Atomic" という言葉が冠されているほど。"Atomic bowl"というボーリング屋さん、レストランのデザートも "Atomic Dessert" などなど。

そんな町で、しかし、森口さんは果敢にも原爆の被害を訴えた。
核施設で、そして町の人が集まる集会で。(←なんの集会かわからなかった。)
ここですごいのが、町の人たちが、涙を見せながら、森口さんの言葉に共感していたこと!!

これはアメリカ人の良いところ。全員がそうとは言わないが、傾向として、アメリカ人は目の前の人をリスペクトし、意見を聴き、そして自分のあたまでその意見を判断し反応する力をもっている(傾向として)。わたしはアメリカ人のそういうところは好き。その裏返しで、自分の意見を持たないヒトをリスペクトすべき「人間」とみなさない弊害もあるのだけど…(わたしなんて、人見知りのモジモジだから、透明人間か赤子のように軽視されていたよ)。

話がそれたが、核に誇りを持つリッチランドの人たちが核反対に共感した要因として、アメリカ人の社会的パーソナリティもあるが、森口さんの人柄もあるんだろうな。真摯で、おだやかに、核反対の意思を伝えていた。説得力あり。

町の人たちが理解を示してくれたことに対して、森口さんは「ここに来たかいがあったと思いましたよ」と言っていた。ヨカッタ!!くうううう。素晴らしいご活動ですね😂

最後に、核兵器禁止条約のはなしになった。
50か国の批准で条約が発効するところ、現在はまだ14カ国。
ご存じ、アメリカの核の傘で守られている被爆国日本は批准していない。
これも難しい問題だよなあ!!身動きが取れない。

ICAN国際運営委員の川崎さんは、「一人一人の行動が国を動かす」と、とても楽観的な見解を持っていたが…、こちらも妙に説得力があった。

具体的には、ソーシャルメディアで「いいね」という意思表明をするとか、
もう少し大きくは、市町村議会が意見書を採択するとか。
そういった国民的な意思を形成していくことで、政治家が無視できなくなると。

たしかに、SNSとか、自治体とか、森口さんのような市民交流とか、そういった地道な活動の広がりによって、
かつ日本だけではなく、アメリカを含め、広く国際世論を形成していくことで、どんずまりの事態が動くのかもね。そんな気になった。
地球規模の政策を動かすには、地球規模の民主主義、つまり地球市民が主権を獲得することが必要ってことなのかな~。


いやあ、いつもはけっこう流し見しちゃうニュース番組ですが、今日はいろいろと考えさせられたし、感動した。
3つの問題に共通していたのは、治水、資源、核兵器といずれも大きな社会問題なのに、合意形成、草の根の経済活動、市民運動といった、市民の役割に焦点が当てられていたことで、共感する部分が大きかったのだと思う。
勉強になりました!