干潟とは…。12年前の盤州干潟、異世界探検を思い出した。

先日何気ない会話のなかで「干潟」という言葉を発した時、友人(注:おとな)から「干潟ってなあに?」といわれた。
「えっ、干潟を知らない人がいるのお?」



干潟とは

干潟を知らない人がいるとは!と驚きつつ、海育ちのわたしにとってはあまりにも自明な生活知を何と説明したらよいものかとまどった。
「波がドップ―ンときてきれいなのがビーチ、波が来なくて水が引いたり満ちたりする泥っちいのが干潟」と説明してみたが、友人はあまりピンときてない。
たぶん、干潟を干潟として認識する機会のなかった、生粋の都会っ子てことなのね~。

ちなみに、わたしの説明はまんざら間違っていなかったぞ。
環境省の説明でも「1日に2回、干出と水没を繰り返す平らな砂泥地のこと…。波浪の影響を受けにくい穏やかな入り江や湾内で、砂泥を供給する河川が流入する場所に多く発達します」(環境省「干潟とは?」)とある。つまり干潟とは、波がなくて海水の満ち引きがある泥っちいところなのだ。

ということで、いい歳まで干潟を認識せずに生きてきた都会派の友人に干潟を体験してもらう遊び企画をたてたよ。ついでに潮干狩り初体験もかねて。
と、ここまで説明しておいてなんですが、その企画については第二弾としてそのうちUPしまーす!
今日は、「干潟」の存在を思い出したついでに、干潟ネタの第一弾として、
myベストの強烈干潟体験について書いておきたいと思いまーす(前置き長くてすまん)。



盤州干潟

アクアラインの千葉県側のふもと、元都知事のスキャンダルで有名なホテル三日月(☛龍宮城スパ)のあたりに、盤州干潟というどでかい干潟が広がっています。

東京湾環境情報センター「東京湾の年代別埋立状況」より引用・加筆

もともと東京湾内は干潟だらけだったのでしょうが(たぶん)、上の地図で示されているように海岸線の埋立・開発(色がついてるところ)によって干潟は激減し、いまでは自然干潟は局所的にいくつか残っているだけです。

そのなかでも規模で群を抜くのが盤州干潟。
「河口三角州(43ha)と、その先の前浜干潟(1,400ha)」からなり、「前浜は大潮時に1.5~2km沖まで干出する日本でも最大級の砂質の自然干潟」だそうな。
その盤州干潟もしごく安泰ってわけでもなく、大型宿泊施設からの排水(ホテル三日月のことだよね)、ゴミの漂着、そして潮流変化などの脅威があり、保全活動が必須なようです(重要野鳥生息地プログラム「盤州・富津干潟」)




むかし会社努めしていた時、CSR活動で谷津干潟(習志野市)の公園づくりをお手伝いした。それでなんとなく干潟に興味をもったので、後日あらためて、「日本でも最大級の」盤州干潟、その中でもディープな河口三角州に探検しに行ったことがある。かれこれ12年前…

干潟を探検するの巻

それは2006年8月、暑い夏の日のこと。
木更津市内の農道からヨシやぶの中に飛び込み、ヨシをかきわけて奥に進むと、……
そこには、まさに龍宮城というか、異世界が広がっていました。
村上春樹の小説にときどきあっちの世界が出てきますよね、羊男がいるような。そんな感じです。


間違った場所に足を踏み入れてしまったという感覚、写真ではうまく伝えられないのだけど、
同行した大型の姉と犬もビビっており、言い出しっぺで冒険を先導していたわたしはかなり腰が引けていました。

蛇行する川筋をすすむたびに、大小無数のカニが一斉に高く両手を挙げてわたしたち3人(2人と1匹)に向かって立ち上がるの。スポーツイベントのウェーブのように順番に、永遠と。
「何しに来たんだ=」「お前たちの来るところじゃないぞ=」「そうだ帰れ=」ってかんじ。


進むのに一生懸命だったせいか、カニの一斉抗議を写真に収めていなかった。かわりに、穴の中にいる静かなカニさんの写真。

無数のカニからの激しい抗議の眼差しにさらされながら、そして不本意ながら彼らをザザザッとフナムシのように追い立てながら、
川筋を下ってとうとう海に出たら、遠くに人工物(ホテル三日月)がみえて、
人間が住む世界に戻れたらしいと、やっとひと息つくことができた。


え~でも、またあのカニの世界を歩いて戻るのお??
で、なんで大型犬が一番ビビってるの? あんたは自然界よりの生き物じゃないの~?

っていう異世界への冒険は12年前のことだったのか。怖かったけど、楽しかった。
カニさんたち、傍若無人に分け入ってすみませんでした。
今でもあそこは人間の臭いのしない、カニの世界なのだろうか?

そう、干潟とは、蟹男のいる異世界のことなのです。



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