アメリカの歴史ドラマ「Saints & Strangers(信じる者とよそ者)」感想。理解が深まった!

アメリカの時代劇。大河ドラマ的な位置づけとして観たよ。96分×2話。

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アメリカの起源

「ピルグリム・ファーザーズ」とか「メイフラワーコンパクト」とか聞いたことありますか?
日本のことに例えるならば、「戦国大名」とか「関ヶ原の戦い」みたいな、アメリカにおける歴史的な大イベントにまつわる、誰でもが知ってるキーワードです。

ざっくり言えば、アメリカ合衆国の始まりのこと。イギリスから新大陸に渡ったキリスト教徒たちがアメリカ合衆国の礎を築いたよ、という大イベント。
1620年。時代的には、日本で江戸時代が始まったころですね。

わたしはアメリカで大学生と大学院生をしていたので、
「メイフラワー号」とか「プリマス」とか、耳タコなくらいファミリアな言葉(あまり勉強してませんが…)。
でも、無機質な知識にとどまり、その歴史をつくった、なまの人間にまではぜんぜん思いが至ってなかった。

しかーし、このドラマのおかげで、無機質なただの知識が、ものがたりで肉付けされ、血の通う有機的な教養に変わったよ。ちょっと大げさかしら…😁



大河ドラマ的な位置づけ?

このドラマ、わたしはネットフリックスで見ました。
2015年にナショナルジオグラフィックが製作したものらしい。

ナショジオチャンネルの位置づけをよく知らないが、
ドキュメンタリー専門というくらいだから、
ものがたり性を色付けしながらも、一定程度の時代考証は担保しているのでしょう。たぶん。

なので、水戸黄門や遠山の金さんとか(古い!)、あるいは韓流・華流のエンタメ時代劇とは異なり、
日本でいえば大河ドラマ的な位置づけで捉えてよいだろうと思って観たよ。




あれこれ感想

「メイフラワー号で海を渡った」という無機質な情報は、
女性や子供を伴う普通の人々(信仰は強いが、海賊や軍人さんではない)が、質素な船に乗って、病気と飢えに耐え、隣人の相次ぐ死に絶望しながらの勇敢な旅のことだったのだ。

Netflixより抜粋

「入植」ってあっさりした言葉のもつ意味は、
未知なる敵(先住民)と戦ったり、同盟を結んだりする命がけの駆け引き、
そして飢えと寒さに耐え、相次ぐ餓死者と全滅におびえながらも、生きる糧をダッシュ村的にゼロから作り出すギリギリの生活のことだった。

さらには、一元的な価値観に基づく勧善懲悪ストーリーではなく、多元的な視点もしっかり描かれている。
入植者間の、つまりキリスト教徒と商人ら(信じるものとよそ者)の信仰や価値観をめぐる対立や和解。
入植者(イギリス人)とネイティブアメリカンの対立や協調。
ネイティブアメリカンの部族間の権力争いと駆け引き。
こういった多様な正義のありようも、事実を反映しているのでしょう。たぶん。

とくに、入植者対ネイティブアメリカンの協調や対立は、
蝦夷地(北海道)における和人とアイヌの協調や対立と似た部分が多い。
なんとも複雑でやり切れないものです。
どの立場の人も一人一人が一生懸命生きてるだけなんだけど、大局的に見ると「侵略」ってやっぱりすごく罪な気がする…。侵略者サイドでのうのうと生きていて申し訳なし…。
そういう気持ちが、こういうものがたりを製作する原動力にもなっているんだろうな。
DVDのジャケットも、「メイフラワーがやってくる」とネイティブアメリカンの立場から描かれてるし。

Netflixより抜粋
そしてそして、ネイティブアメリカンの俳優さんたち、みなさんそうとうかっこよかった。
とくに入植者の村に滞在していた二人の男性と、女性と子どもが一人つずつ、露出度が高いだけにすっかり魅了された。
このカッコよさも時代考証済みかしら…😜

ものがたり上の脚色や現代的解釈による演出も多分にありつつ(もちろん)、しかし、歴史上の出来事をそこそこ忠実に映像化したドラマと思ってよいのだと思います。たぶん。
ネットフリックスでたまたま観たドラマでしたが、
アメリカ合衆国の起源について、ん十年越しに理解を深めることができた🙆